消極的意味・積極的意味における企業責任

法律的人格を持つ企業も、個人と同様に近代市民法に基づく契約の自由が認められ、同時に契約にかかる権利と義務が発生する。

しかし、これらの法律契約に基づく企業責任は「消極的意味」における責任であり、企業倫理で求められている「積極的意味」における自生的責任とは、内容を異にするものである。

このように、企業責任の形態には、消極的意味における責任と積極的意味における責任があるが、これらの責任の区分により、執行にかかる行為形式、つまり責任手続の発現状況が異なってくる。

消極的意味における企業責任とは、所与の要件によりもたらされる義務的責任をいう。

これらは、憲法に基づく納税の義務、社会法に基づく各種規制、業法に基づく各種規制、免許事業にかかる許認可申請など、幅広い法令規則の道守が、企業に要求されているところのものである。

一方、積極的意味における企業責任とは、使命感、道徳観、倫理観、宗教観などに基づく自生的責任概念であり、行為形式の定型性は低く、さまざまな発現形態での企業責任の推進が期待できるところのものである。

そもそも、企業とは、第一義的には利益の追求を目的とする「利益集団」であることから、企業の活動は、より多くの利益獲得のために向けられる。

しかし、その企業活動により、利害関係者(ステークホルダー)や第三者が、損害を被る事態が発生したときには、企業はその責任を負わなければならない。

これらの損害賠償責任は、消極的意味における企業責任であり、企業活動が広範・多岐にわたってくることに伴い、多種多様の広がりを持ち発生してきた、新たなリスク責任である。

企業活動より生ずる損害には、直接的な被害者が存在するものと、具体的な被害がすぐには確認できない、つまり組織的な被害を受けるものとがある。

さらに、企業活動より生ずる責任そのものは、これらを含めて、具体的に被害者が存在するものと、被害自体を問題にしない場合とに分類できる。

企業責任の諸形態は、企業の生産活動に関連するもの、企業の販売活動に関連するもの、企業の管理活動に関連するものなどの類型に分類することができる。

「生産活動」に関する責任には、公害被害があり、「販売活動」では、不当表示、欠陥商品や詐欺商法の問題などがあり、「管理活動」に関連するものでは、従業員に対する使用者責任、株主総会の適正運営、粉飾決算の防止などがある。

その他、最近では、証券市場での相場操縦やインサイダー取引など、企業内部の管理責任が社会問題に直結するような、新しいタイプの責任分野も生まれている。

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